発達が気になる子の保護者への伝え方、その前にやるべきこと

自閉症(ASD)の幼児って、違う星からやってきた存在みたいに感じることがある。

まだ地球に降り立ってまもなくて、この世界のルールをご存じなさそうな感じ。支援者の仕事は、その子に「地球ってこんな感じで回ってるんですけど、いかがですかね……」ということを、その子にわかる形で翻訳して伝えて、早めに馴染んでいただくことやと、私は思っている。

これ、保護者向けじゃなくて支援者向けの話です。現場で発達が気になる子に関わっているスタッフさんに読んでほしい。

目次

「伝え方」の前に、もっと大事なことがある

「発達が気になる子の保護者への伝え方」を検索すると、こんな情報がたくさん出てくる。

  • 診断名を言わない
  • できていることを先に伝える
  • 信頼関係を作ってから
  • 具体的な場面で伝える

どれも間違ってない。でも全部、「 どう伝えるか」 というテクニックの話なんよね。

私が現場で15年やってきて思うのは、伝え方の前に「 見立て」 があるってこと。そしてその見立ての中で一番最初にやることが、「 誰が困っているのか」 を整理すること。

困り感には「出どころ」がある

保護者に何かを伝えようとするとき、まず立ち止まってほしい。

今、誰が困っていますか?

  • 現場(保育士・支援者)だけ困っている
  • 保護者だけ困っている
  • 家族の一部(父・祖父母など)だけ困っている
  • 子ども本人が困っている(周りの大人が気づいていない)
  • 場面によって困り感が変わる(家では大丈夫、園では困る、またはその逆)

これ、全部「 対応が変わる」 んよね。

困っている人が違えば、何を、誰に、どう伝えるかも変わってくる。なのに多くの場合、「子どもが困っている」を前提にして保護者への伝え方を考えてしまう。そこが最初のズレの原因になることが多い。

特性より先に、「摩擦の場所」を見る

特性そのものが問題なのではなく、「 環境とのミスマッチが困り感を生む」 。これがすごく大事な視点やと思う。

人間てそういうもんやよね、ってどこかで腑に落ちてる人たちに囲まれていれば、不得意は自然とカバーされる。愛想のよさや素直さは「環境に助けてもらえる力」で、支援者はその力を育てながら、子どもの周りの環境を整えることが仕事の核心でもある。

健常と言われる親子でも摩擦は起きるし、親に特性があることも実際多い。「ちょっと変わってる子」が「問題のある子」になってしまうのは、社会の受け入れ側の話でもある。

だから「子どもを変える」より先に、「 この摩擦はどこから来ているのか」 を見立てることが必要なんよね。

保護者の「温度感」から始める

現場だけが困っていて、保護者は全然困っていないケース、実は結構多い。

そういうとき、私がまず確認するのは保護者の温度感。第三者から話を聞いたり、親子のやりとりを観察したりして、今どんな状態にあるかをアセスメントする。

保護者が困っていないなら、「『困り感として伝えない』という選択肢がある」。

これ、すごく大事なポイントで。困っていない保護者に「実はこんなことが気になっています」と伝えると、それが保護者にとって「 初めての困り感の植え付け」 になることがある。急に植え付けられたら、怒りと不信感が返ってくるのは当然のこと。タイミングと伝え方を間違えると、関係が崩れてしまうこともある。

「相談」という形で巻き込む

現場だけが困っているとき、私がよくやるのがこういう伝え方。

「お家では困ってなさそうなんですけど、みんなの前でこんなことがあって😅 こういうとき、どうしたら落ち着くか教えてもらえますか?」

支援者が「助けを求める側」になることで、保護者を責める構造を崩す。保護者が「問題を指摘される立場」ではなく、「一緒に考えるチームの一員」になれる。

これ、テクニックというより、「 本当に保護者のことをパートナーとして見ているかどうか」 という姿勢の話やと思う。どう伝えるかより、どう見ているか。そこが変わったら、言葉は自然とついてくる。

結局、「伝え方」より「見立て」

まとめると、こういう順番で考えてほしい。

  1. 誰が困っているのかを整理する
  2. 困り感が環境との摩擦から来ていないか確認する
  3. 保護者の温度感を事前にアセスメントする
  4. 保護者を「相談相手・チームの一員」として巻き込む

「伝え方」の前に「見立て」がある。誰が困っているかを整理してから初めて、何を、誰に、どう伝えるかが決まる。

テクニックより先に、この視点を持っておくだけで現場の動き方はかなり変わってくると思う。どう伝えるかより、「 誰が困っているかを見る」 。それだけのことが、意外と難しかったりするんやけど。

※これはあくまで私の現場感覚からの話なんで、参考程度に読んでもらえたら嬉しいです。現場やケースによって正解は変わるし、絶対これが正しい!ってわけでもないので。

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